動画投稿サイトで大学をPR(1):YouTubeで公式チャンネルを開設している日本の大学

マイスターです。

大学の広報にも映像を導入した方がいいとか、クチコミのマーケティングを活用すべきだとかいった声が上がっています。

そこで注目されたのが、動画配信サイトのYouTube。
公式サイトとしては、(マイスターの知る限り)明治学院大学がいち早く導入しました。
有名なアートディレクターの佐藤可士和氏がブランディングに関わったということもあって、明治学院大学の事例は業界で話題になり、今では、様々な大学が広報メディアの一つとしてYouTuneに注目していると聞きます。

というか一時期、YouTube自体が様々な企業のメディア戦略に使われたこともあり、「注目されすぎてしまった」観があります。
もはや、「今さらYouTubeを使っても、話題になるのかねぇ」なんて考えている大学もあるのではないでしょうか。

しかしYouTubeのような動画サイトを、そうやって流行メディアのひとつであったかのように扱ってしまうのは、もったいないようにマイスターは思います。

ちょっとした映像を、気軽にスピーディーに、誰でもアクセスできる形で配信し、それをずっと蓄積し続けられる。さらには、映像を気に入った人が、自分のブログなどに貼り付けられる。大きな可能性を秘めているメディアであることには違いありません。

大学の広報は、一時の注目を集め続けなければならない企業広告とは目的も、求められるあり方も異なります。言ってしまえば、むしろ企業よりも大学の方が、こういった動画投稿サイトを効果的に活用できるのではないかと、マイスターは思うのです。

一時期のブームが落ち着いたからこそ、改めて、こうしたサイトを見直してみたいところ。

YouTubeには、自分達の動画をまとめて掲載する「チャンネル」という機能があります。
そこで試しに、現在、大学として公式に「チャンネル」を開設している大学がどのくらいあるのかを調べてみました。

■「meijigakuinさんのチャンネル:明治学院大学」(YouTube)

まずは業界でもよく知られている、明治学院大学のYouTubeチャンネル。

公開授業の様子から、キャンパス案内、イベントのレポートまで、ありとあらゆる映像コンテンツをアップしている点が特徴です。

ちなみに、一番再生回数が多かった動画は、↓こちらでした。再生回数は66,223回(2008.9.12現在)ですね。

↓大学の公式サイトTOPページも、YouTube映像のサムネイルがずらっと並ぶデザイン。大胆です。

■「明治学院大学」

■「kyotoseikaさんのチャンネル: 京都精華大学」(YouTube)

↑京都精華大学のチャンネル。
授業の内容公開が中心です。

美術に関する硬派な授業がある一方で、ろうけつ染めや「農的くらし」など、広く一般の方々も関心を寄せそうなものも。

↓一番再生回数が多かったものはこちら。再生回数は5,098回(2008.9.12現在)です。

■「KUADTVさんのチャンネル:京都造形芸術大学 / KUAD-TV」(YouTube)

京都造形大学のチャンネル。
オープンキャンパスを始め、イベントのレポートが充実。
ただ撮影した映像を流すだけでなく、しっかり編集されたものも多いです。

ワークショップの様子や、学生さん達が作品づくりを行っている様子なども紹介されていて、高校生にとっても参考になりそう。

↓再生回数最多の動画はこちら。45,836回(2008.9.12現在)です。

■「senzokugakuenさんのチャンネル: 洗足学園音楽大学」(YouTube)

音大としてYouTubeに進出している、洗足学園音楽大学。
アップされている授業の様子も、いかにも音大といった感じのもので、音大関係者以外にとっては新鮮です。
発表会やライブの様子もアップされています。

↓最も再生されている動画はこちら。 1,569回(2008.9.12現在)でした。

■「jissenjoshigakuenさんのチャンネル: TV.実践女子学園」(YouTube)

実践女子大学、および短期大学のチャンネルです。
舞踊や文学など多くの種類の映像がアップされていて、人文学系の志望者にとっては、大学や短大での学びの様子を知る上で大いに参考になりそう。

↓最も再生されているのはこちら。1,035回(2008.9.12現在)です。
いきなり先生の見事な踊りが始まります。

■「otaniuniversityさんのチャンネル: Otani University」(YouTube)

大谷大学のチャンネルです。

講義の様子の他、キャンパスツアーの映像が充実。
また、高大連携プログラムの授業風景がたくさんアップされています。
受験生を意識したラインナップです。

ちなみに大谷大学の映像は、外部への埋め込みができない設定になっておりました。
ブログなど、ネット上のクチコミなどによるバイラルマーケティングを狙っているというわけではないのかも知れません。
せっかくYouTubeにアップするのに、ちょっともったいない気もします。

■「KyoDaiOcwさんのチャンネル: KYOTO-U OCW 」(YouTube)

以前のブログ記事でもご紹介した、京都大学・オープンコースウェアのチャンネルです。
詳細は、↓こちらの記事をご覧ください。

■京都大学 YouTubeで講義を配信

一番人気の動画は、↓こちら。
総長自ら、46,904回(2008.9.12現在)の再生回数を集めておりました。

以上、「明らかに公式チャンネル」と分かるものの中から、いくつかを選んでご紹介してみました。
他にも、まだまだ大学のチャンネルは登録されていると思います。

YouTubeでは再生回数が表示されますから、どの動画が人気を集めているのか、すぐにわかります。
講義やイベントの映像をアップした場合、人気のランキングがすぐに出てしまうわけで、なかなかスリリングです。

……とは言っても、動画を再生する理由は、別に講義の内容の善し悪しとは関係ありませんから、出演されている皆様が深く気にされる必要はありません。

多く再生されるかどうか、勝負を決めているのは、広報担当者などサイトを運営している方々。
アップする際、タイトルの付け方や最初の1画面の様子、それにアップするタイミング等々、気を配れば再生回数はぐっと増えるはずです。

YouTubeの動画は、このブログのように、外部のサイトに貼り付けることも可能。
明治学院大学のように、色々なところに露出させて、活用するのも手です。

というか、バイラルマーケティングを狙うのなら、「貼り付けたくなるような動画」をいかに用意できるかが肝です。
講義の様子の中に、ちょっとだけでもユニークな映像や、目を引く映像を混ぜてみたりすると、より広報効果はアップするものと思われます。お試しあれ。

なお見ていてたまに気になったのですが、「どうせYouTube用の動画だ」と考えて、明らかに慣れていない方(多分広報部の方)が撮影しているものが少なくないようです。
再生回数だけ考えれば、大学が気合いを入れて制作・配布しているDVDなどよりもずっと多いはずですから、できる限り気を配るといいかもしれません。

プロの方が入るとベストですが、YouTubeを使うメリットは、普段キャンパスで起きているような、「特別ではない日常」を気軽にばんばんアップできること。
プロの撮影にこだわることで、かえってアップの頻度が下がってしまうくらいなら、広報部の方や学生さんが腕を上げて対応する方がいいと個人的には思います。

まずは基本的なところから、少しずつこだわってみるといいかもしれません。

例えば撮影の際、話し手の声が十分に拾えていなかったり、雑音が入っていたりするケースが結構ありました。講義を撮影する場合は、話し手の方にマイクをつけて、直接、音声を拾うようにした方がいいです。
また、背景がごちゃごちゃしていたり、汚れていたりすることもありました。片付けたり、あるいはポスターなどを貼ってみたり、環境設定にこだわると素敵です。

さて、この他にもご紹介したい事例がたくさんあるのですが、長くなってきましたので、続きは次回にします。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • いつも有益な情報をありがとうございます。
    「今さらYouTubeを使っても、話題になるのかねぇ」という声はあるでしょうね。
    私は、先陣をきってYoutubeを活用した明治学院大さんがどのような経緯でYoutubeを使うに至ったか気になります。
    広報部門の職員が、提案したのでしょうかね・・・。
    こういった流行るモノ(いずれ定番となるもの)を見つける、そして利用しようと考える職員の力が大事なんだと思います。