ニュースクリップ[-8/26]「県立大 文学研究科修士課程入試 『専門職』『シニア』新設」ほか

転職してからというもの、気づけばほとんど毎月、海外に行っているマイスターです。

出張という出来事自体が好きな上、しかも海外ですから、いやがおうにもテンションは高まります。
もちろん観光ではなく仕事で行くわけですから大変な部分はありますが、それでもやはり、普段は縁のないような遠い街、遠い国に実際に行く機会というのは、貴重で、ありがたいものです。

さて、日曜日になりましたので、恒例のニュースクリップをお届けします。

文学研究科が、シニアと専門職にPR。
「県立大 文学研究科修士課程入試 『専門職』『シニア』新設」(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/kumamoto/20070803/20070803_002.shtml

熊本県立大学(熊本市月出)は2日、同大大学院の文学研究科(日本語日本文学、英語英米文学専攻)修士課程の来年度入試から、教師や塾の講師、通訳など既に専門知識を持つ人を対象にする「専門職業人特別選抜」と、退職した50歳以上が対象の「シニア特別選抜」を実施すると発表した。

これまでの一般選抜、社会人特別選抜、外国人留学生特別選抜も従来通り行われる。募集定員は各専攻5人。同大は「専門職の人にはキャリアアップの場を、退職した人には再び勉学する場を提供したい」と話している。

(上記記事より)

シニア層を大学に……というのは、かけ声としてはよく聞きますが、成功している例というのはまだあまり聞きません。
そんな中、文学部や文学研究科は、学問分野的に定年後のシニアをターゲットにしやすいということもあるのか、他大学でも積極的にシニア向けの施策を打ち出しているように感じます。

(過去の関連記事)
・生涯現役学生主義! 日本初、カレッジリンク型シニア住宅が誕生(2006年07月15日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50222030.html

そして熊本県立大学の場合、「教師や塾の講師、通訳」といった「専門職業人」に対して文学の専門知識を与え、職業人としてのキャリアアップをはかってもらうというコンセプトが、なんだか新鮮に感じられます。

「退職したシニア」と「高度職業人」とに対し、同じ研究科が同時にアピールを行うというのは、なんだか興味深いです。
その主体が「文学研究科」だという点も、非常にユニークだとマイスターは思うのですが、いかがでしょうか。

民間企業による、大学支援サービス。
「ソフトブレーン、理系大学向けに中国人留学生の受入支援サービス」(nikkei BPnet)
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz07q3/541662/

ソフトブレーンは8月3日、子会社のソフトブレーン・ヒューマンが、理系学部のある日本の大学に対して、中国からの留学生受け入れを支援するサービスを始めると発表した。中国での留学生募集をはじめ、現地の大学や日本語学校との連携、中国人スタッフによるフォローアップ、各種手続き代行を手がける。

ソフトブレーンによると、理系学部のある大学は現在、少子化に加え、IT分野への就職希望者減少による理系離れの影響で、定員割れや経営危機、学力低下などの問題を抱えている。一方、中国では大学進学希望の7割が理系志望で、数十万人が海外留学を目指しているという。

同サービスでは、ソフトブレーンのグループ会社が北京、上海、青島に置く現地拠点を通じて留学生を募集する。学校説明会の開催をはじめ、学校案内の翻訳、応募窓口の代行、入学試験や選考フォローを行う。現地大学や日本語学校と提携し、多数の候補者から優秀な人材を選抜する。

中国人スタッフによるフォローアップでは、留学生に対するコミュニケーション術や、日本での生活についてのアドバイス、就労に関するサポートを実施する。このほか留学生のビザ申請、更新、入国手続きなどは経験者の中国人スタッフが対応する。

(上記記事より)

この記事を読む限り、非常にまっとうな分析のもと、求められているサービスをまっとうに展開しようとされているのだろうな、と感じます。

■ソフトブレーン株式会社
http://www.softbrain.co.jp/

ソフトブレーン社は、これまでは大学運営に関わる業務を展開していたわけではありません。
ただ中国主要都市に事業所を持ち同国と日本をまたいだ事業を展開してきたこと、そして人材を扱う子会社があるということで、このような新サービスを始められるのでしょう。

日本の大学、特に理工系学部にとって、中国からの留学生は本来のどから手が出るほど欲しいはず……なのですが、それを実際に展開できるスタッフや機構を整備するのはなかなか大変。その結果、まだ実際にはほとんど何もできていないケースが多いのではないかと思われます。
そんな大学にとって、こういったサービスを専門的に担ってくれる外注先があったら、頼もしいのではないでしょうか。

なお上記とは関係ありませんが、ソフトブレーン社の創業者、宋文洲氏の文章は非常に面白く、読みやすいです。
ビジネス関連の著作は読んだことがありませんが、同社のメールマガジンと日経ビジネスオンラインの「宋文洲の傍目八目」は、愛読しています(後者はもう終わってしまいましたが……)。個人的に、おすすめです。

■「宋文洲について」(ソフトブレーン株式会社)
http://www.softbrain.co.jp/company/so.html
■「宋文洲の傍目八目」(日経ビジネス オンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20060307/100520/

宋氏自身が留学生として日本で学んだ経験をお持ちであったと思います。今回の留学生受け入れ支援サービスも、両国の将来に対する同氏の思い入れが関係しているのではないかな、と勝手に想像するマイスターです。

学歴社会、韓国のこれから。
「学歴詐称続出 揺れる韓国 『試験1回で人生決定』 再考求める声も」(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007082602043960.html

出身大学が就職や結婚に大きく影響するほどの学歴社会である韓国で、大学教授や著名人らの学歴詐称が相次いで発覚し、大きな社会問題になっている。検察当局は既に私文書偽造などの疑いで一部教授らの捜査に着手したほか、各大学とも一斉に全教職員の学歴の調査を始めるなど対応策に追われている。

(略)韓国メディアが報道合戦を展開し、他の大学教授らの経歴のうそが次々に発覚。さらにラジオ司会者や俳優、映画監督、漫画家らも自らの学歴詐称の過去を告白した。入学した事実がないのに「卒業」や「中退」を主張した単純な詐称のほか、米政府が未承認の大学で取得した「学位」を悪用し、韓国で大学教授に就任した例も明らかになった。

一方、ソウル市ではある職員が語学試験の成績表などを偽造して昇進していた事実が浮上。このため市当局は、約五千人の職員がこれまでに提出した各種の成績表や資格証の真偽を確かめる作業を始めたという。

(上記記事より)

(過去の関連記事)
・韓国 学歴詐称が社会問題に(2007年08月22日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50335844.html

本ブログでもご紹介した韓国の学歴詐称騒動に関する、日本のメディアの紹介記事です。
経緯をわかりやすくまとめてくれています。

記事ではさらに、

一連の騒動を受け、韓国メディアは「学歴至上主義の韓国社会の慢性的な問題」(朝鮮日報)、「十代後半の試験一回で人生を決める学歴中心主義を再考する契機にしなければならない」(ハンギョレ新聞)などと問題提起している。

(上記記事より)

……といった点が紹介されています。

確かに、極度の学歴信奉があるからこそ、このような学歴詐称も起きるのではないか、と考えるのは自然なことです。
韓国メディアも、そういった点を指摘しているようですね。

ただ……こういった社会的な認識というのは、残念ながらそう簡単には無くならないものです。
日本でも、こういった事件が起きると必ずメディアが「学歴信奉の弊害」を論じますが、いっこうに事態が変わる気配がありません。それどころか、大きなメディアほど有名大学の卒業生を好んで社員に採用していたりします。

↓そんな状況を裏付けるような最近の記事も、ご紹介します。

「韓国、大学「看板効果」大きい」(中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=90451&servcode=400&sectcode=400

韓国社会で4年制大学の卒業証書は、月32万ウォン(約3万6000円)の価値があることが分かった。米国に比べて「卒業証書効果(sheepskin effect)」が猛威をふるっているとのこと。

韓国教育開発院のチャン・スミョン研究委員は、21日「労動市場の成果で考えた学歴・学閥主義の実像」と題した報告書で「韓国社会で4年制大学を卒業した場合、退学したり修了した人たちに比べて、平均賃金が月32万3900ウォン高かった」と伝えた。韓国労働パネル(KLIPS)と各大学の資料を分析した同報告書によると、高校を卒業した賃金労働者の月平均賃金は108万1500ウォン。

(略)分析資料によると、米国の場合、専門大学や大学を退学した人々の賃金は、高卒者の賃金より4~13%ほど高く、成績点で計算された教育年数によって3~10%の賃金上昇効果がある。チャン委員は「短期間に必要とされる特定科目を受講するのは、大学卒業とは関係なく生産性を高められる」とし「だが、韓国社会は卒業証書だけを重視する」と指摘した。名門大学への選好度も強まっている。

(上記記事より)

詳細は、リンク元の記事をご覧ください。具体的な数字が色々と紹介されています。
これでは、有名大学の卒業証明書が、人生において強力な効果を発揮するという現状は、当面変わりそうにありません。

学生達をキャンパスに引き戻せるか。
「銃撃事件のバージニア工科大また災難 新学期初日に一酸化炭素中毒」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070821/usa070821002.htm

今年4月、学生ら32人が犠牲となる銃撃事件の起きた米バージニア工科大学で20日、学生5人が一酸化炭素中毒で病院に搬送される事故があった。同大はこの日が学年初めにあたり、惨劇の影をぬぐうように新入生の歓迎ムードであふれていただけに、殺到する救急車に学内からは「もううんざりだ」の声がもれた。

(略)大学では、学内に犠牲者の名を刻んだ慰霊碑を設けたほか、凶行現場となった教室などの改装工事を新学年に向けて進めていた。しかし、学生らからは「ノリス・ホール(現場の教室棟)に帰ってくるのは、思ったほど簡単ではなかった」との声がもれ、この日も学内に追悼の花が飾られた。

事件後、大学当局では合格者名簿を洗い直して入学辞退に備えてきたが、約2万6000人の学生が向こう2週間程度ですべてキャンパスに戻るのかは「分からない」としている。

(上記記事より)

銃乱射事件で多数の被害者が出てしまった、アメリカのバージニア工科大学。
受験生から見た場合、印象が多少悪くなってしまうのは、避けられません。

(過去の関連記事)
・バージニア工科大学で発砲事件 32人が犠牲に(2007年04月18日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50306547.html

そこで同大では新入生の入学辞退に備えてきた他、事件が起きた教室の改装などを進め少しでも学生を確保できるようにと努力をしていたようです。

が、上記の通り、初日から救急車がキャンパスに殺到する事態に。
重傷だという学生の皆さんが心配ですが、せっかくの再起ムードがくじかれた形の大学、および在学生達にとっても、痛い出来事でしょう。

なんとか、同大が完全復活することを願います。

以上、今週のニュースクリップでした。

海外出張はいいのですが、問題は普段以上に食べてしまうことです。
非日常の空間であるのを良いことに、ついつい自分に言い訳し、気持ちのリミッターを外してしまいがち。
このままではエコノミー症候群とメタボリック症候群とが、同時にやってくることになります。
何とかしなければ。

今週も一週間、本ブログをごひいきにしていただき、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。

1 個のコメント

  • プレスリリースのご紹介ありがとうございます。
    弊社では大学様向けのサービスとして記事中の留学生受入支援に加え、携帯電話を使った学生連絡用サイトの構築をご提案しています。(弊社HPの”リクルーティング・マジック”をご覧ください)
    入学希望者の引きこみ、在学生に対する教務・庶務的連絡、就職希望者への情報提供とキャリアセンターとのコミュニケーションといった使われ方を想定しているのですが、まだ試行錯誤の段階です。
    実務に携わっている方の生のご意見を伺う機会があれば、と思っています。
    ご興味があればご連絡くださいますようお願いい申し上げます。