ジャーナリスト養成大学院 日本でも

マイスターです。

市民記者によるメディア「JANJAN」に、以下のような記事が掲載されていました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「龍谷大と早大プロジャーナリストコース新設へ」(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/culture/0708/0708060417/1.php
————————————————————

専門性とプロ意識を備えたジャーナリストの育成を目指し、龍谷大学と早稲田大学が来年度から相次いで「ジャーナリズムコース」を大学院内に設ける。専門的知識を持ち高度な職業意識を備えた「プロジャーナリスト」を育成するのがねらいだ。マスコミやジャーナリズムの研究者を育てる学科は無数にあるが、実践的なジャーナリスト育成に取り組む試みとして興味深い。

龍谷大は大学院社会学研究科(大津市)にジャーナリズムコースを設ける。新聞社や通信社で記者経験のある講師陣が国際ジャーナリズム、地域メディア、調査報道などについて教える。少人数教育でニュース・ライティング研究や記事制作実習まで実践的なカリキュラムを用意している。

卒業後の進路としてはマスコミのほか、インターネットの新しいメディアや企業・行政・団体などの広報部門も想定している。研究者の養成を目的とはせず、あくまで「専門的知識を有する職業ジャーナリスト」を輩出するのがねらいだ。社会人や留学生も受け入れ、幅広い人材を募る。

早稲田大は大学院政治研究科内にジャーナリズムコースを設置する。同科ではこれまで「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」を実施していたが、ジャーナリズムコースに統合してジャーナリズムの学位を授与する。同大広報課によると「ジャーナリズムの修士号を授与する、わが国における初めてのジャーナリズム大学院」としているが、龍谷大では社会学の修士の学位を与える。

早稲田大が発表したプレスリリースによると「プロフェッショナルとして倫理、知識、技能において真に実践的な人材であるだけでなく、専門的知識と市民社会の間に相互関係を作り上げる公共的コミュニケーションの担い手として、専門性においても卓越していなければならない。高度専門職業人としてのジャーナリストの養成を目指す必要がある」としており、プロとして高い能力を備えた人材の輩出を目指す。

(上記記事より)

以下が、各大学による公式情報です。

■プレスリリース「政治学研究科に『ジャーナリズムコース』政治学研究科と経済学研究科に共通コースとして『国際政治経済学コース』̶ 2008 年4 月より、両研究科にコース制導入̶(PDF)」(早稲田大学)
http://www.waseda.jp/seikei/seiken/files/070525info.pdf

■「社会学研究科 ジャーナリズムコース 」(龍谷大学)
http://www.soc.ryukoku.ac.jp/daigakuin/journalism/index.html

プロのジャーナリストを養成する学部や大学院というのは、これまで日本にはありませんでした。
(早稲田大学は、「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」というコースを持っていましたが、今回、それが「ジャーナリズム」を教え、「ジャーナリズム」の修士号を授与する大学院に生まれ変わるということのようです)

ジャーナリストを育てる大学院というのは、海外には既に存在します。
マイスターが知っている限りでは、コロンビア大学ジャーナリズム大学院などは、有名なのではないかと思います。
ジャーナリストに与えられる世界的に有名な賞、「ピューリッツァー賞」を運営しているのが、同校です。

■「Graduate School of Journalism」(Columbia University)
http://www.journalism.columbia.edu/cs/ContentServer/jrn/1165270051346/page/1175295297393/JRNHomePage.htm

日本にジャーナリズム大学院を養成するにあたり、両校の関係者はこうした海外の事例を参照されたのではないかと推察します。
マイスターも、個人的には大いに期待したいです。

ただ、ジャーナリズム大学院を成功させるためにも、ちょっとだけ気をつけた方がいいのではないかと思う点があります。
それは、そもそも「ジャーナリスト」という職業の社会的な位置づけが、日本と、アメリカなどの国とでは、結構違うのではないかということです。

アメリカなど諸外国では、ジャーナリストというのは高度な専門職として認知されています。
プロとしての豊富な経験と知識、高いスキルを持ち、(例え何らかの組織に属していたとそしても)ジャーナリストとして個人で活躍できるような存在ですね。
新聞でも雑誌でも、記事ごとにジャーナリストの署名が入っているのは、そういう意識に基づいていると言います。
したがって、「いかに鋭い意見を発信するか」ということが、ジャーナリストとしての評価基準になっている……と、そう聞きます。

一方日本で、「プロのジャーナリスト」として認知されている方は、果たしてどれくらいいるでしょうか。
日本の場合、大手新聞社やテレビ局に就職し、その会社の中で取材や報道を行う人、具体的には記者やレポーター、アナウンサーなどがジャーナリズムを支えている、という認識があるように思います。
実際、記事には署名を載せない方が、非常に多いです。「ジャーナリスト○○の意見」ではなく、「○○新聞社の意見」という形式でしか、モノを書かない方もおられるのではないでしょうか。
大きな報道機関に就職しない限り、ジャーナリズムに参画することはほとんど不可能です。

実際、日本の政府や官公庁などは、主に大手の報道機関によって構成される「記者クラブ」というシステムを介してしか、取材を受け付けないことがあります。個人のジャーナリストはそもそも取材ができない、または極めてやりにくいという環境です。

そしてそんな大手報道機関の社員というのは、皮肉っぽい言い方をすると、「新卒の就職活動時に、会社受けの良い対応を身につけ、人気企業からの内定をゲットすることに最も長けた方々」だと言えなくもありません。
(もちろんそうでない方も多いと思いますが、一般的に、日本には上記のような傾向があり、それが日本の報道を偏らせているという指摘を、しばしば耳にします)

このように「ジャーナリスト」の位置づけが違う中で、欧米と同じようなジャーナリスト養成大学院を設立しても、同じようには機能しないかもしれません。

日本の場合は、例えば既に報道機関に所属している人や、ジャーナリストとして活動を始めている人に対して、プロとしてのスキルやものの見方、知識などを教授するという位置づけだと成功するのかもしれません。

幸い今はインターネットなど、ジャーナリストして個人で意見を発信するために武器となるメディアも存在しています。
そんなメディアの活用の仕方も含め、日本でジャーナリストとして活動していくためのカリキュラムが出てくるといいなぁと思います。

日本版・ジャーナリスト養成大学院。
社会に対する意義は、非常に大きいのではないでしょうか。
ぜひ、成功させて欲しいと思います。

以上、マイスターでした。

1 個のコメント

  • 大手マスコミで記事を書いている人は、本当にジャーナリストなのか? と考えることがあります。ジャーナリズム大学院が「大手マスコミ就職予備校」にならないことを望みます。