ニュースクリップ[-4/1]「大学に『准教授』『助教』という新ポスト…4月から」ほか

今日は「元・大学職員」として過ごしたマイスターです。

ブログのコメント欄や「大学職員.network」などを通じて、皆様から暖かいメッセージを多数、いただきました。感激いたしました。
皆様、ありがとうございます。自分は幸せ者です。

さて。
立ち位置は少々変わりましたが、やることはあまり変わらない……というわけで、日曜日恒例のニュースクリップをお届けしたいと思います。

いよいよ始動、大学の新ポスト。
■「大学に『准教授』『助教』という新ポスト…4月から」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070401ur01.htm
■「『助教』って何? 大学の新ポストなのですが…」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200703280248.html

この4月から、「准教授」「助教」という二つのポストが新設されます。

従来の「学校教育法」では、各職階は以下のように規定されていました。

第58条6 教授は、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
第58条7 助教授は、教授の職務を助ける。
第58条8 助手は、教授及び助教授の職務を助ける。
第58条9 講師は、教授又は助教授に準ずる職務に従事する。

これが、今後は↓このように変わります。

第58条6 教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
第58条7 准教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
第58条8 助教は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の知識及び能力を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。

第58条9 助手は、その所属する組織における教育研究の円滑な実施に必要な業務に従事する。
第58条10 講師は、教授又は准教授に準ずる職務に従事する。

これまで上の研究者をサポートするのが役目とされていた助教授および助手を、独立した研究者、教育者として定義し直したわけです。
若手の研究者がサポート業務に負われ、なかなか自分の研究を進められないという、従来から指摘されていた問題を解決しようという趣旨です。

もっとも、

「役割がはっきりし、人材育成につながる」と歓迎する声の一方、「名前を変えただけでは改善しない」との冷めた見方も根強い。
(「『助教』って何? 大学の新ポストなのですが…」(Asahi.com)より)

……という指摘も根強いようです。大学によっては、実態は何も変わらない、というところもあるでしょう。

多くの大学で、<助教授→准教授>と機械的に名称変更されるようです。
ただ助教については、従来の「助手」のうち、研究者として定義される方(新しい「助教」)と、サポート業務に従事される方(新しい「助手」)とを分ける必要があります。ここは、大学によって方針に違いが出ているようです。

従来の助手をどう振り分けるか、待遇をどうするかは各大学の判断次第だ。3310人の助手を抱える早稲田大では助教になるのは3分の1程度だが、慶応大は561人の助手全員を助教にする予定。法政大は28人の助手はそのままに、新たに助教を1人採用する方針だ。
(「『助教』って何? 大学の新ポストなのですが…」(Asahi.com)より)

もともと「助手」をどのように認識していたか、という大学ごとの考え方の違いが、今回の対応の仕方に表れてきそうですね。

※ちなみに「准教授」や「助教」でGoogle検索すると、本ブログが1~2位にヒットします。比較的早い時期にこのワードを取り上げたからでしょうか。

(過去の関連記事)
・用語解説:「准教授」とは、「助教」とは(2005年07月16日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/27915510.html

上記の記事をアップしてからというもの、「准教授」「助教」は、このブログにアクセスしてこられる方々の検索ワード上位に常に入っています。関心の高さがうかがえます。

いっきに3大学が開学する地区。
■「神戸学院大など3大学、1日にポートアイランドに開校」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20070330c6b3004130.html

神戸学院大学、兵庫医療大学、神戸夙川学院大学の3校が4月1日、それぞれ神戸市のポートアイランドに建設していたキャンパスを開校する。進出済みの神戸女子大・短大を合わせると、2013年の学生数は合計約8000人に上る見通し。神戸市などは人口が減少してきたポートアイランドを活性化する起爆剤になると期待している。

3大学と神戸女子大・短大は今後、協力を深めていく。まず5月26日、高校生などにキャンパスを開放する「オープンキャンパス」や記念講演会を共同で開催する。単位互換や図書館の相互利用、学生間の交流事業も検討している。
(略)3大学進出に伴って学生向けマンションも建設されている。
(上記記事より)

このように、街を変えるほどの大事業が展開されています。
現在既に、ポートアイランドには神戸女子短期大学が所在していますが、同短大も敷地内に系列の「神戸女子大学」の学部を増設します。
ですので、これで5つの大学・短大が、ほぼ隣接する形で並ぶことになるのです。
詳細については以前にもご紹介しましたので、よろしければご参照ください。

(過去の関連記事)
・神戸ポートアイランドに5つの大学&短大…集中による相乗効果はいかに(2006年12月12日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50270763.html

人工島の一角に大規模な大学地区。これだけ密集していれば、色々と面白い試みもできることでしょう。活気も出そうですし、ぜひ一度、様子を見に行ってみたいものです。

話題のあの大学も、この4月からスタート。
■「サイバー大学が入学式 日本初、ネットだけで授業」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/gakko/070401/gkk070401000.htm

日本で初めてインターネットだけで授業を行う4年制の「サイバー大学」(福岡市)が1日開校し、入学式が同市のヤフードームで行われた。

入学式には、運営主体である日本サイバー教育研究所の宮内謙社長、エジプト考古学者の吉村作治学長らのほか、出席希望の入学生らが参加し、式の模様は、入学者向けにインターネットのライブ配信。吉村学長は「この大学には休講がない。コツコツと勉強して、素晴らしい社会人として日本をリードしてほしい」とあいさつした。
(上記記事より)

サイバー大学も、今期から開学なのですね。皆様の中にも、科目等履修生として試しに受講してみる、という方がいらっしゃるかもしれません。受講された方は、感想をお聞かせいただければ幸いです。

しかしさすが、話題性抜群の大学。いくつものメディアがこの入学式のことを報じていました。2学部計1,200人の学生数で、インターネットで受講される遠方の方も多いでしょうから、ヤフードームはもしかすると写真で見るよりがら~んとしていたかもしれませんが、注目度は高いです。

サイバー大学では、受講時間や学生からの要望など、多種多様な情報が大学側に集約されるのでしょう。そういった情報がどう活かされるか、個人的には関心があります。同大の場合、「ネット上でどのような評判が広まるか」なんていうリサーチも行われるかもしれませんね。

小学生で科学者&発明家。
■「◎3年連続で野依科学賞 富山奥田北小の山本君 扇風機と砂糖で風紋再現」(富山新聞)
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_today/T20070321201.htm

自然や科学技術における独自の学習に取り組んだ小中学生をたたえる国立科学博物館(東京)の野依科学奨励賞に二十日、富山県内から富山市奥田北小六年の山本良太君(12)が三年連続で選ばれた。山本君は昨秋、小学生として全国で初めて特許を取得しており、今回の受賞について「とてもうれしい。もっと勉強して、発明家になりたい」と夢を膨らませている。(上記記事より)

このように、研究の分野で輝かしい成果を上げている小学生がいるそうです。
山本君は、既に3年連続で野依良治博士と会っていることになりますね。こういった子が出てくるのですから、野依博士もさぞお喜びでしょう。

今回の研究は「扇風機で風紋は作れるか・鳥取砂丘を再現したい」というタイトルで

昨年九月に家族で鳥取砂丘を訪れた際、「自分で風紋を再現できないだろうか」と思ったことがきっかけで研究に取り組んだ。実験では、扇風機で人工的な潮風をつくったり、砂丘の砂に形状のよく似た砂糖(グラニュー糖)を用いたりして、砂丘の上の空気の流れと風紋のでき方を考察し、レポート用紙四十七枚に結果と感想をまとめた。
(上記記事より)

……だそうです。

ちなみに昨年までの彼の受賞タイトルは、以下の通りです。

●平成17年度「お風呂のシャワーカーテンはなぜ僕にくっ付いてくるのだろう ベルヌーイの定理を体感したい」
●平成16年度「光ファイバーの原理を自分の目で見たい」
(「野依科学奨励賞」(国立科学博物館)より)

小学5年生でベルヌーイの定理とは……。当然のことながら小学校の教科書には出てきません(今は高校でも、流体力学は扱わなかったかと思います)。
周囲に、山本君の関心を引き出してあげる環境があったということなのでしょう。いわゆる受験対策の勉強とはまるで違う次元の話です。
自分で疑問を突き詰めていくことが求められる「研究」のコンクールって、やっぱり大切なんだよな、と改めて認識させられた次第です。

なお研究タイトルを見ると、流体関係に特に関心があるのかなという印象ですが、今のところの夢は「発明家」だそうで、特許も既に取っているそうです。

■「『傘お化け』で特許 山本良太君」(Asahi.com)
http://mytown.asahi.com/toyama/news.php?k_id=17000160610200001

山本君のような子の関心を継続的にうまく導き、伸ばしてあげることが、これからの日本の教育の課題の一つでありましょう。

大学の授業がフュージョン。
■「大学講義もフュージョン・実用の時代」(東亜日報)
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2007032473628

最近、大学では新概念のさまざまな講義が花を咲かせている。「歴史で見る環境」や「現代漫画朗読」(以上、高麗大学)、「歴史と歴史小説」、「歴史のなかの科学」(ソウル大学)、「ヨーロッパ旅行のデザイン」、「ハリーポッター魔術学校」(延世大学)、「音楽治療学概論」、「映画の中の造形美を求めて」、「心理学と西洋古典音楽」(梨花女子大)、「ワインとカクテル」、「化粧品と皮膚」(淑明女子大)など、従来の原論や通論などの「正式コース」ではなく、「フュージョン」式の教養授業があふれている。供給者ではない需要者中心の講義へと変わっているのも新しい傾向だ。
(上記記事より)

フュージョン型授業!
なんだかちょっと、メディアが取り上げそうな響きです。

「○○学」のように、系統だった学問の一部分という位置づけではなく、具体的なトピックや社会テーマに沿って計画された授業だという点が特徴のようです。

大学ごとに開設の理由は少しずつ違うが、根本的な原因は、「従来のやり方ではもうだめだ」という認識がその根底にある。

高麗(コリョ)大学教務処長の朴ノヒョン教授は、「学生たちは昔のように、単面的な考え方ではなく無限的な考え方を持っているのに、学校教育が追いついていけず、彼らの潜在力を育てることができないという悩みを抱えてきた」としながら、「それぞれの新しい講座は多様な思考や社会から求められている方向にあわせて開設している。学校教育の需要者である社会と学生が望む需要の科目を開設するのに重点を置いた」と説明した。学問間の境界をなくし、「学制間の統合」が強調される最近のトレンドを反映しているわけだ。

また、違う側面もある。興味深く近づくことで、基礎学問に対する接近性を高めるという趣旨だ。

梨花(イファ)女子大学のチョ・ユンギョン主題統合型教授は、「基礎学問に対する学生たちの関心が著しく落ちている状況で、『経営+自然科学』、『歴史+環境』などの統合型講義は、人文学への新たな関心を呼び起こせる」と説明した。すなわち、餓死状態の基礎学問をよみがえらせる「リリーフ投手」の役割を果たしているともいえる。
(上記記事より)

なるほど韓国の大学教員の皆様も、色々とお悩みのようです。

個人的には、こうした授業は学生の興味関心を刺激するという点で、確かに効果的な面があるように思います。
ただ、単に学生のウケを良くするという趣旨でこういった授業が増えていくのだとしたら、それにはあまり賛成できません。
やはり大学の授業は、カリキュラムありきです。なぜこういう授業を行うのか、こういった授業によってどのような成果が期待でき、それが各学生のカリキュラムとどう連動しているのか……といったことをちゃんと計画しておく必要があるように思います。
そういったことがきちんと計画されているのであれば、問題ないのではないでしょうか。様々な学部学科の学生が集まって、ディスカッションを行えるようにするなど、色々と展開もできそうですし。

以上、今週のニュースクリップでした。

これからまた、新しい気持ちでブログを更新していきます。

皆様、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。