有名私大には受験生が集中?

マイスターです。

少子化で受験生が減るとどうなるか。
大学関係者同士でそんな話をする機会がたまにあります。

そんなとき、それぞれが持っているイメージに

<1:偏差値の低い学校から順番につぶれていって、上位校は比較的安泰>

<2:偏差値の高い大学でも低い大学でも、つぶれるところはつぶれるし残るところは残る>

……という2種類があることに気づきます。

皆さん、結論としては<2>の方だとおっしゃいます。マイスターもそう思います。
ただ多くの人は、そうは言いつつ心のどこかで「でも、やっぱり偏差値の低い大学からつぶれていくよな」と思っているフシがあります。

実際はどうなのでしょうか。
大学がつぶれるとか生き残るかとかいった話は、経営がうまいか下手かという問題です。よく言われる受験者数の減少は、非常に重要な要素ではありますが、それがすべてではありません。受験生が半分に減っても、減ったなりの教育を適切に行っていくことができれば、とりあえず「つぶれる」ということはそうそうないんじゃないかと個人的には思います。

とは言え、やっぱり気になっちゃうんですよね、受験生の増減。経営における最重要ポイントの一つであるのは確かですし。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「受験生、有名私大に集中 関西大は志願者10万人突破」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200702220032.html
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「大学全入時代」の最初の年になると言われた今年の私大入試で、都市部の有名大学に受験生が集中する現象が起きている。関西のブランド校「関関同立」では軒並み志願者が増え、特に関西大(大阪府吹田市)は、志願者が初めて10万人を超えた。全入時代の波に乗って、上位校を狙おうという受験生心理が働いているほか、有名私大の学部新設や出張入試の拡大、国立大の後期試験廃止などの動きも影響しているようだ。一方、それ以外の大学では志願者を減らしているところも多く、明暗を分けている。
関西大学によると、前期の一般入試・センター利用入試の合計は8万5131人で、前年を1万7554人(26%)上回った。関西の私大では、群を抜いた増加率だ。
現在出願受け付け中の後期日程の志願者と合わせると、10万47人(22日午前現在)に達した。志願者数の増加も3年連続となる。
(上記記事より)

朝日の関西版の記事ですので、特に関西圏の大学が大きく取り上げられています。

少子化で受験生が減っているなか、むしろ大幅に増やしている大学があるという報道です。受験生に対する市場競争力がある有名私大が、限られたパイを一気に持っていく、そんな構図が頭に浮かびます。

関西大学の前年比26%増というのが特に際だっていますね。
記事によれば、関関同立が軒並み好調であるほと、早稲田大、明治大、法政大など東京の有名私大も「大幅に」受験生を増やしているそうです。

(そう言えばちょっと前に、↓こんな報道もありました)

■「9万人入試の舞台裏は? 『勝ち組』法政大、総力態勢」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200702180124.html

大手予備校の担当者は、このように有名私大に受験生が集中する理由について

○全入時代を前に、難関大であっても、合格しやすくなっているのではないかという受験生の期待感が広がっていること

○国立大が次々に2次試験の後期日程を廃止した影響で、難易度が近い私大に受験生が流れていること

○ブランド校が、財力を生かして学部を新設するなどして定員を増やしていること

(「受験生、有名私大に集中 関西大は志願者10万人突破」(Asahi.com)の内容より)

といった要因を挙げています。この他、「受験機会の拡大」に各校が取り組んでいるということもおそらくあるでしょう。(あとは可能性として「今の若い世代がブランド志向になった」ということも考えられます)

上記はいずれも、なるほどそうだよなぁと思える内容です。

ただ「ブランド校が、財力を生かして学部を新設するなどして定員を増やしていること」なんてのは、考えてみるとなかなか大きな賭けです。
学部を増やせば確かに受験生は増えますが、あまり新学部の人気が長続きしないと、結果的には大学の負担を大きくすることになるかも知れません。
学部の増設で新しい時代に対応できる教育体制をつくることには大いに賛成ですが、「ライバル校よりも受験生をたくさん集めねば!」と焦り、安易に拡大を続けてしまうのは避けた方がよさそうです。

これまでの記事でも申し上げたことですが、大学というのは、一度作ってしまった体制を縮小したり、廃止したりということが極端に難しい組織です。
世の中の18歳が減り続けているのは事実なのですから、今あまり強気に組織を拡張してしまうと、後々経営上の重荷になるかも知れません。
一時的に受験生を増やしても、経営が破綻したら大学はつぶれますので、くれぐれもご注意を。

ところでパイの大きさが変わらない(というか減っている)中で一部の有名私大が大幅に受験生を増やしているということは、受験生を減らしている大学が少なからずあるということを意味しますよね(一人の受験生が以前より多くの大学を受験するようになった、ということはあんまり考えにくいですし)。

関西大学が26%増やしたそうですが、26%以上減らした大学だって、少なからずあるのではないでしょうか? まさに二極化です。

冒頭で、「受験生が減ってもやりようはある」と申し上げましたが、やはり、あんまり減り過ぎてしまうと、どうにもなりません。受験生が減った先には「定員割れ」という悪夢も待っています。

他の有名私大が勝負に出る中、受験生をいかに増やすか。
すべての大学にとって、非常に大きな課題になりそうです。

以上、マイスターでした。

3 件のコメント

  • 初めまして。
    偏差値=人気度ですから、偏差値と生き残りとの関係のみでは
    仮説2は成り立ち得ないと思います。ただし、地理的制約等々での
    大学選びもあり得るでしょう。極端な話し、知恵遅れのお子さんに無理矢理
    大学卒の肩書きを持たせる需要もあり得ます(実例を知ってます)
    ですから、都市圏では仮説1、地方都市では西部劇の宿場町のように
    一日ウマで走っていくとぽつりと寂れた大学が点在するようになると思っています。

  • 偏差値の低い大学からつぶれるのであれば
    専門学校などは全てつぶれているはずです
    が、現実はそうではありません。
    日本人学生は少子化で減っていますが、留
    学生は増えています。
    留学生(ほとんどは就労目的の東南アジア
    系)の受け入れや、社会人の委託訓練
    など、学生を増やす努力をしている学校
    はつぶれません。
    よって、私は仮説2が成り立っている
    と思います。

  •  >専門学校などは全てつぶれているはずです
    東京法経学院のように、大学とカブってしまう分野の専門学校は、今後窮地にたたされることも考えられます。
     >留学生を増やす努力をしている学校はつぶれません
    酒田短期大学や城西国際大学を見る限りでは、あまりその仮説は当てはまっていないように感じます。
     大学全入時代になり、大学生になろうと思えば誰でもなれる時代になりました。しかし、どこ大学でも同じように評価されるわけではありません。やはり、一流大学では高い教育を受けられますし、熱心な友人に囲まれます。一方、五流大学では、同じ科目であってもレベルが低く、ゼミやサークル活動等も盛んではありません。人材の二極化が問題視されていますが、学歴との因果関係は否定できません。このようなことから、中堅以上はより人気に、下位大はますます窮地においこまれます。よって、仮説1を支持します。