ニュースクリップ[-2/18]「立命大、東京に教育拠点 4月から、京都学発信へ」ほか

マイスターです。

「wikipedia」でよく検索されているワードのランキングを表示してくれるサイトがあります。

■WikiCharts — Top 100 — 02/2007:from the English Wikipedia
http://tools.wikimedia.de/%7Eleon/stats/wikicharts/index.php?lang=en&wiki=enwiki&ns=alle&limit=100&month=02%2F2007&mode=view

あいにく日本語版はまだないのですが、上記の英語版wikipedia検索結果を見てみると、上位ワードに「Naruto」「Pokémon」などといった日本語がちらほら。「wii」や「PlayStation 3」など、日本発のゲーム機も登場しています(2007年2月18日現在)。
英語圏の方々が「どんなものだろうか」と関心を寄せているのですね。こういうのを見ると、日本のコンテンツ産業のパワーはたいしたものだなと再認識します。

さて、今日は日曜日ですので、ニュースクリップをお届けします。

東軍と西軍、互いの本拠地に陣地を構築?
■「立命大、東京に教育拠点 4月から、京都学発信へ」(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007021400041&genre=G1&area=K00

立命館大は13日までに、JR東京駅・日本橋口のサピアタワー(東京都千代田区)に、首都圏での教育研究活動の拠点となる「東京キャンパス(仮称)」を開設することを決めた。4月から京都学や金融の講義などを行い、東京からの情報発信強化を図る。今年1月には、慶応義塾が大阪市内に慶応大学の拠点施設を設けることを発表している。大学間競争が激化するなか、東西の有名私大が互いの「敵地」に乗り込んで拠点拡大を目指す戦国時代といえる動きになりそうだ。
東京キャンパスには、立命館東京オフィスや東京駅構内のサテライト教室を移転して拡充し、約100人が聴講できる教室や事務室を設ける。すでに東京で活動を始めている金融・法・税務研究センターや立命館孔子学院東京学堂も同じフロアに入る計画だ。
京都の伝統文化の継承者によるリレー講義などを通じて京都学を展開するほか、実務家対象の税法連続講座、中国語講座なども開講する。
(上記記事より)

従来の「支持地域」を超え活動範囲を拡げていく動きが、一部の大学で見られています。
慶應義塾大学が大阪に進出する動きは本ブログでもご紹介しましたが、今度は立命館大学が東京に進出するそうです。

金沢工業大学の大学院など、社会人向けのコースを東京で開設する地方大学はあるのですが、立命館大学は京都学、実務家対象の税法連続講座、そして孔子学院による中国語講座等をまず展開するようですね。
いち社会人としては、中国お墨付きの中国語講座ということで、孔子学院が気になります。

どのようなプログラムを、どのような意図で展開するのか。その辺りの戦略の立て方は、各大学で考え方の違いが出てくるところでしょう。
東京駅のそばに開設するのであれば、社会人向けの実学系講座が中心かなとすぐ考えてしまうのですが、「京都学」というのはむしろ教養の分野であるような印象も受けます。
東京駅周辺では関東の大学も活発に活動していますので、そういった競合とどのように差別化するかという点もポイントかと思います。また関西のキャンパスを卒業し首都圏で働いている卒業生達に、キャリアアップのための教育サービスを提供していくという視点もあるでしょう。
さて、立命館大学はどのように打って出るのでしょうか。

(過去の関連記事)
・世界100カ所に中国語教育の拠点を : 中国の「孔子学院」戦略とは
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50245478.html

中国の大学生の間で日本語の人気が高まっている?
■「中国の大学、韓国語・日本語が大人気」(中央日報)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=84605&servcode=400&sectcode=400

中国の大学で韓国語と日本語がフランス語、ドイツ語を抜いて第2外国語として人気を集めている。

韓国語、日本語講座は開設されると受講を希望する学生でいっぱいになるほか、中国のインターネットサイトでもこれらの言語の使用頻度が増えている。

北京で発行される中国青年補は12日、こうした内容を報道し、韓国語と日本語を学ぼうとする最大の目的は両国大衆文化を原語で楽しもうとする学生が爆発的に増えているからだと伝えた。広東外国語大学日本語科の蕭陽さんは、日本語のコンピューターゲームや漫画を楽しむ友達との間で人気を集めている。「友達は中国語に訳されたものはつまらないと感じている」とし「原語を聞いたり見たりして直接理解したり、誰かに解釈してもらうのが楽しいというので、やることが増えた」と話す。
(略)
韓国語と日本語に人気が集まるもう1つの理由は就職だ。中国メディア(伝媒)大学院1年生の許継華さんは「最近、中国と韓国、日本間の貿易が増え、韓国語や日本語を駆使する学生を求める企業が増えている」とし「一種の資格を取る気持ちで韓国語や日本語を勉強する学生が多い」と伝えた。電子科学大学電子学科4年生である孫航さんは「韓国語や日本語の科目は学校のウェブサイトで受講申請の受付が始まるとすぐ定員に達してしまう」とし「受講申請した学生より聴講生の方が多く、授業前、前の席の争奪戦が起こるほど人気が高い」と話した。
(上記記事より)

考えてみれば当然なんですが「学んだ言語を使って○○をやりたい!」という強い動機がないと、語学の学習者って増えませんよね。かつてドイツ語やフランス語を学ぶ学生が多かったのも、「その言語を使わないと最新のことが学べない学問分野があるから」といった理由があったのだと思います。

で、今は「エンターテイメント」と「就職」が、日本語を学びたいと考える中国人学生の動機になっているようです。どっちも動機としては強力ですが、市場の変化によってあっという間に失われそうなものでもありますので、油断はできません。
この機を逃さず、うまく日本語のアピールにつなげたいものです。

学生の作品を世に。
■「美大生作品49件を競売・大学コンソーシアム京都」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20070207c6b0702607.html

財団法人大学コンソーシアム京都(理事長・八田英二同志社大学長)は18日、京都地域にある美術系大学の現役学生による絵画、写真、陶芸などのオークション(競売)を開く。
競売会場は京都造形芸術大学、京都嵯峨芸術大学の2大学で、これに先立ち両会場で10―17日に公開する。両大学のほか、京都市立芸術大学、京都精華大学などの在学生27人が出品する49件を競売にかける。競売当日はオークション会社サザビーズの日本法人社長も務めた柴山哲治アートガイア(東京・品川)会長が日英2カ国語で進行役を務める。
(上記記事より)

「大学コンソーシアム京都」のちょっと粋な取り組み。サザビーズ元社長の柴山哲治氏を進行役に、美大生達の作品をオークション形式で販売するという趣向です。
収益の半分は学生に、半分は大学コンソーシアム京都に入るそうです。アーティスト志望の学生さん達にとって自分の作品が価格で評価されるという機会は貴重で刺激的でしょう。京都の学生達の活動をイベントの形でかっこよくアピールできるのも素敵です。
大学のコンソーシアムというと、学術的なシンポジウムやセミナーなど、少々「おかたい」活動をする団体というイメージがありますが、こんな形で社会に存在感を示すのもたまにはいいですよね。

優秀学生にはボーナス。
■「一橋大が国立大最高額となる奨学金制度を創設へ」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20070209wm01.htm

一橋大学(国立市、杉山武彦学長)は新年度から、国立大で最高額となる年96万円を支給する「学業優秀学生奨学金制度」を創設する。経済状況に関わらず優秀な学生を表彰し、さらに学習に励んでもらう狙いがあり、他の奨学金との併用も認められる。
対象となるのは、2007年度1年間の成績によって4学部2~4年の各学年から1人ずつ選ばれる計12人に、08年4月から月額8万円を支給する。また、卒業生についても08年3月から、在学期間の成績によって4学部から1人ずつ、計4人を選んで約30万円の記念品を授与する。
(上記記事より)

他の奨学金との併用も認める、経済状況は関係ない等々、「より高みを目指すための奨学金」という位置づけですね。国立大学も今後、こういった取り組みにより力を入れていくのでしょう。

ただ、こういった奨学金を創設する際の課題はやはり、財源。学生から納付された学費を原資にすると「納めた学費が、他の学生のために使われる」という構図になってしまうのでよくありません。一橋大学の場合はというと、資金確保のために2004年11月に創設した基金をあてるそうです。
将来的には受給者を4倍にし、海外留学したい場合などには一括受給もできるようにしたいとのこと。留学費用を大学からもらえるというのは、なかなか画期的だと思います。

一方、同じ奨学金でも、財源を巡って困惑するケースがあるようです。
↓青森県「東奥日報」の記事をご紹介します。

医学部増員のための条件は、県による数十億円の支出増?
■「新たな医学部奨学金制度に県反発」(東奥日報)
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2007/20070206144252.asp

医学部定員増の条件として、国が本県などに奨学金設定の条件を設けたことで、関係者に混迷が広がっている。厚労省は「希望者がいれば最大、定員の五割まで奨学金を貸すように」とする要求を提示。県は「五割の理由が不明。負担が大きすぎる。予算措置できない」と反発する。七月末までに調整がつかなければ、定員増が見送りになる最悪のケースも考えられる。そもそも学部生の五割が奨学金を受けることは考えにくく、現実離れした国の見切り発車的な施策が、現場の混乱を招いている形だ。

発端となったのは昨年八月、国が示した「新医師確保総合対策」。二〇〇八年度から最長十年間、医師不足が深刻な本県など十県の医学部定員を最大十人まで増加することを認めた。その条件として、増員後の入学定員の五割相当に奨学金設定を要求。卒後の医師配置計画を策定することを求めた。

医師不足が深刻な各県にとっては朗報とも言えるが、高い奨学金設定条件を見て、各県は、万歳しかけた手を下ろした。県は、トータルの負担額が数十億円に上ると試算。これまで奨学金制度がなかった岐阜県の医療整備課も「相当な支出になる。厳しい財政状況で、県財政当局との話し合いは難しいものになる」と難色を示した。
(略)
厚労省医政局総務課は「あまり形式的なことにこだわらないでほしい。地方にできないことを強いるつもりはない。柔軟に対応したい。せっかくの医師増員の施策がつまずかないようにしたい」と言いながらも、五割枠確保の確約書は出してもらう方向だ。
(上記記事より)

医師が不足しているわけですから、医学部の増員はおそらく臨まれていることなのでしょう。また医学部生のための奨学金が充実するのも、学生にとっては良いことなのでしょう。

しかし「だから数十億円を県で負担してね」と言われたら……各県ともそう簡単には決断できませんよね。元記事を読む限り、各県の主張に対する厚生労働省の返答も、なんだか歯切れが悪い様子です。
結局、どのあたりに着地点が見いだされるのか、今後の展開が気になります。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、「俺の職場は大学キャンパス」をご覧くださいまして、ありがとうございました。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。